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著者
村上尚己Naoki Murakami
マーケット・ストラテジスト
外資系および国内系証券会社や日本経済研究センターなどシンクタンクにてエコノミストを歴任。経済予測分析や金融政策の分析に精通し、日経ヴェリタスやインスティテュショナル・インベスター誌のアナリスト・ランキングにおいて、エコノミスト部門にランキングされた経験を持つ。著書に「インフレ貧乏にならない資産防衛術」(東洋経済新報社)、「日本人はなぜ貧乏になったか?」(中経出版)、「円安大転換後の日本経済」(光文社)などがある。

Vol.31 トランプ政権への失望が高まるリスク

2017年05月18日

米株式・米債券市場の温度差に注意

①米国株 vs 米国長期金利_201705.png

4月中旬まで北朝鮮など地政学動向やフランス大統領選挙への懸念を背景に米国株・米国金利がいずれも低下した後、これらの警戒感が和らぐと株式・金利ともに反転した。

 

5月になって米国株は最高値を更新するなど、世界的に株高が続き、ゴールデンウィーク明けには、マクロン氏の仏大統領選挙の勝利が株高を後押しする場面もあった。

 

一方、米債券市場でも長期金利は反転したが、米国10年金利は2.4%前後に留まっており、3月中旬の2.6%の水準よりも低い水準にある。既に、6月、9月FOMCでの利上げがかなり織り込まれているが、米長期金利の上限が押さえられている。債券市場の投資家が、米経済の成長加速、インフレ率上振れ、を慎重に見ていることが、金利上昇を抑制しているとみられる。

 

村上コメント

5月に入ってから米株が一段高となり、一方で米長期金利の上昇は限定的となっています。両市場において、米経済やトランプ政権に対する見方の違いが広がっているように思われます。トランプ政権の経済政策に対する期待が、今後更に低下する可能性が高いと見ています。

ドル高円安は更に続くか

②米ドル円vsユーロ米ドル_201705.png

4月中旬に北朝鮮の有事リスクが最も警戒された局面で、為替市場においてドル円は一時108円台まで円高が進んだ場面があった。

 

その後、4月後半からは北朝鮮有事とフランス大統領選挙のリスクの後退を受け、株高とともにドル円は大きく上昇。5月ゴールデンウィーク明けに、一時114円台と3月中旬以来の水準までドル高円安が進んだ。

 

一方、米国10年金利が、3月中旬に上昇した時には2.6%まで上昇したが、米金利は5月に入っても同水準まで戻っていない。米国金利の上昇と比較すると、ドル円の上昇ピッチは速すぎるといえる。5月以降の円安は、テクニカルな節目を上抜けしたことが後押ししたとの見方がある。

村上コメント

米国金利の上昇が限定的なことには、米国経済・トランプ減税に対して慎重な見方が広がっていることが背景にあります。

筆者も同様の見方をしていますが、4月後半からのドル円相場の戻りのピッチが速すぎた可能性があります。

新興国への資金流入は途絶えず

③対ドル新興国通貨の推移_201705.png

2016年秋の米大統領選挙直後には、トランプ政権へのリスクが懸念され、新興国市場から投資資金が大きく流出し、新興国通貨安・株安となった。

 

その後、2017年に入ると、メキシコなど一部新興国では政治リスクへの懸念から通貨安が続いたが、投資信託を通じたマネーの流出が一服し、流入超に転じた。

 

その後も、トランプ政権の保護主義的な政策は変わらず、また米FRBによる3月利上げが決まり、更には4月にはシリア・北朝鮮に起因する地政学リスクが高まる中で、新興国への投資信託を通じた資金流入が続いている。こうした中で、中南米を中心に新興国の通貨高が続いている。

 

 

村上コメント

地政学リスクなどが高まっても、新興国への資金流入が衰えないことには、新興国経済のファンダメンタルズが最悪期を脱したこと、メキシコを除く中南米では中銀の利下げが続くなど、インフレ期待低下が続いていることが挙げられます。

 

経済のお天気予報

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出所:アライアンス・バーンスタイン株式会社

 

         

 

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