knowledge openspace 知の広場

最適なバーベル戦略の構築

 

 
peebles_doug_WA2.jpg
ダグラス・ピーブルズ (写真)
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門 最高投資責任者(CIO)
 
 
 
マシュー・シェリダン    
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
グローバル・マルチセクター債券 ポートフォリオ・マネジャー
 
 

 

PDF版をご希望の方はこちら pdf

2017年9月12日

 
 
リスクを軽減しつつ安定的なインカムを得たければ、金利変動以外のリスクが小さい国債のような債券と、ハイイールド社債のように高利回りだが信用リスクを伴うクレジット資産を組み合わせたバーベル戦略を検討してみる価値がある。ただし、バーベル戦略においても、まずは適正なバランスを取ることが重要だ。
 
このように性質の異なる2種類の資産を組み合わせて運用するバーベル戦略は、それぞれの資産からのリターンが概して逆相関になることから、上記の投資目的に適った戦略である。ハイイールド社債など、企業業績の恩恵を受けるクレジット資産の価格が下がる時には、国債などの金利に敏感な債券の価格は概して上がる。両方の資産を組み込んだポートフォリオであれば、より多様な市場環境に適応できる可能性がある。アウトパフォームした方の資産を売却しつつ、アンダーパフォームした方の資産を購入することで、リバランスが可能だからだ。
 
それでは、最適なバーベルはどのように構築したら良いのだろうか?金利敏感債券とクレジット資産を単純に50%ずつ保有すればそれで良いのか?
 
答えは、それぞれの投資家のニーズとリスク許容度により決まる。ここで3種類のバーベル戦略を想定してみよう。金利敏感債券を代表する商品としては米国債を、クレジット資産を代表する商品としては米ハイイールド社債を用いる。
 
もちろん、実際の債券投資では、国債、バンク・ローン、社債、新興国債券、インフレ連動債、証券化商品など多様な金融商品を対象に投資を行い、ポートフォリオの分散を図るべきであることは言うまでもない 。  
 

最適なバランスを探る  

第1のバーベル戦略は、米国債50%、米ハイイールド社債50%の単純な構成だ。高水準のインカムを求め、リスク許容度も高い投資家に向いた戦略だ。なぜなら、クレジット資産のボラティリティは信用力の高い国債の2倍以上はあるので、両方の資産を同じウェイトで組み合わせれば、実際のリスク・エクスポージャーはクレジット資産に傾いているからだ。この戦略を「単純バーベル戦略」と呼ぶことにしよう。
 
第2の戦略は、信用力の低い債券を除外することで信用リスクを抑制する戦略で、ハイイールド社債の中でも特にリスクの高いCCC格のいわゆるジャンク債を除外するものだ。これらの社債はデフォルトのリスクが最も高く、特に信用サイクルの後期には避けることが好ましい。この「リスク管理を行うバーベル戦略」は、一定のリターンを犠牲にする代わりにリスクを抑制できる。
 
第3のバーベル戦略は、ポートフォリオにおける米国債部分のリスク量とハイイールド社債部分のリスク量を同水準にするものだ。この場合、「リスク加重したバーベル」が必要になる。なぜなら、ハイイールド社債のリスクは米国債の2倍以上であるため、米国債をより多く保有しなければ両資産のリスク量が等しくならないからだ。およそ米国債65%、ハイイールド社債35%の配分で両資産のリスク量は均衡する。
 
この3種類のバーベル戦略のリスク調整後リターンには、ばらつきがある。しかし、過去20年間における年間のシャープ・レシオ(リスク1単位当たりのリターン)を見ると、3戦略の全てが、単に米国債だけを保有した場合や単にハイイールド社債だけを保有した場合を上回った(図表1)。
 
 
 
 
リスクとリターンのトレード・オフ.png
 
 
 
とは言え、適正なウェイトを維持するよう常に管理を怠らないことが重要だ。ある一定の資産配分を決めてそのまま放置してしまうと、長期的に良いリターンを維持することはできない。バーベルの片方の資産が割高に見えてきたら、もう片方の資産に配分をシフトできるようにすることが大切だ。もし、バーベルのどちら側も割高に見える場合には、ポートフォリオ全体のリスクを削減する必要があるかもしれない 。  
 

金利上昇は必ずしもリターンを低下させない 

では、金利リスクや信用リスクへのエクスポージャーは、どの水準を超えると過大となるのだろうか?例えば、米国債などの金利リスク商品に資産の65%を配分したら、金利が上昇する市場環境では、組入比率が高過ぎはしないだろうか?
 
実は、そうとは限らないのだ。国債は、いかなる市場環境においても、クレジット投資を行う上で重要な分散投資ツールであるからだ。さらに、重要なポイントが他にも2つある。
 
第1に、中期的に見れば、米国債のリターンの9割以上はインカムだということだ。短期的な価格変動に乗じてキャピタルゲインを狙うことを重視しない投資家にとっては、金利上昇はインカムの大幅上昇を意味する可能性がある。
 
第2に、金利上昇はやがて成長鈍化をもたらすということだ。成長が鈍化すれば、信用サイクルも後退期に入り、企業業績に敏感なクレジット資産は低迷する。そして、しばらくすると景気減速が金利低下をもたらし、経済の回復を促す。
 
2004年から2009年にかけての期間を例にとってみよう。この間、米連邦準備制度理事会(FRB)が17回金利を引き上げ、住宅バブルが崩壊し、世界金融危機が発生したが、その後は株式市場も回復した。仮にこの間、米国債65%、ハイイールド社債35%でリスク加重したバーベル戦略を採用していたら、米国総合債券指数やS&P 500指数を優にアウトパフォームしていた。それどころか、米国ハイイールド社債のパフォーマンスにさえ、あと少しで手が届いていたかもしれない(図表2)。
 
 
 
市場サイクル全体を通じてバランスを維持.png
 
 
 
バーベルの構築法は一つしかない訳ではない。しかし、運用者を選ぶ際には注意深く吟味して、どのような運用プロセスを採用しているのか、金利リスクとクレジットリスクのバランスをどのように取っているのかといったことを理解することが重要だ。
 
どちらに、いつポジションを傾けるのかを判断するためには、グローバルな金利サイクルや信用サイクルおよびそれらの相互作用について深く理解している必要がある。個別銘柄レベルでも、個々の証券の発行体の信用力を深く分析する能力がなければ、魅力的な投資機会を見極めることや、回避すべき銘柄を特定することはできない。
 
人生における多くの事柄がそうであるように、適正なバランスを保つことで投資はより良い結果を生むものだ。規律正しいバーベル戦略は、最適なバランスを債券ポートフォリオにもたらすことができる。
 

 

 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.abglobal.com/post/en/2017/07/building-the-perfect-barbell

 

 

 

 

 

本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスの過去のパフォーマンスは将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。 
 
当資料は、2017年7月24日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 
 

 

 

当資料についてのご意見、コメント、お問い合せ等はjpmarcom@abglobal.comまでお寄せください。

 

 

アライアンス・バーンスタイン株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第303号 
【加入協会】一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会/日本証券業協会/一般社団法人第二種金融商品取引業協会
http://www.abglobal.co.jp

 当資料についての重要情報

当資料は、投資判断のご参考となる情報提供を目的としており、勧誘を目的としたものではありません。特定ファンドの取得をご希望の場合には当該ファンドの目論見書をご覧いただき、投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いします。下記の内容は、ファンドをお申込みされる際に、投資家の皆様にご確認いただきたい事項としてお知らせするものです。

投資信託のリスクについて
アライアンス・バーンスタイン株式会社の設定・運用する投資信託は、株式・債券等の値動きのある金融商品等に投資します(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)ので、基準価額は変動し、投資元本を割り込むことがあります。したがって、元金が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、全て投資者の皆様に帰属します。投資信託は預貯金と異なります。リスクの要因については、各投資信託が投資する金融商品等により異なりますので、お申込みにあたっては、各投資信託の投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等をご覧ください。


お客様にご負担いただく費用:投資信託のご購入時や運用期間中には以下の費用がかかります
● 申込時に直接ご負担いただく費用 …申込手数料 上限3.24%(税抜3.00%)です。
● 換金時に直接ご負担いただく費用…信託財産留保金 上限0.5%です。
● 保有期間に間接的にご負担いただく費用…信託報酬 上限2.0304%(税抜1.8800%)です。

その他費用:上記以外に保有期間に応じてご負担いただく費用があります。目論見書、契約締結前交付書面等でご確認ください。

上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的なファンドを想定しています。費用の料率につきましてはアライアンス・バーンスタイン株式会社が運用するすべてのファンドのうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。

ご注意

アライアンス・バーンスタイン株式会社の運用戦略や商品は、値動きのある金融商品等を投資対象として運用を行いますので、運用ポートフォリオの運用実績は、組入れられた金融商品等の値動きの変化による影響を受けます。また、金融商品取引業者等と取引を行うため、その業務または財産の状況の変化による影響も受けます。デリバティブ取引を行う場合は、これらの影響により保証金を超過する損失が発生する可能性があります。資産の価値の減少を含むリスクはお客様に帰属します。したがって、元金および利回りのいずれも保証されているものではありません。運用戦略や商品によって投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。また、ご投資に伴う運用報酬や保有期間中に間接的にご負担いただく費用、その他費用等及びその合計額も異なりますので、その金額をあらかじめ表示することができません。上記の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。

 

戻る

著者一覧

page top