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割高に見える成長株が割高でない時

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フランク・カルーソ 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
米国成長株式運用 最高投資責任者
 

 

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2017年6月15日

 
 
 
投資家は米国株のバリュエーションの高さに警戒感を強めている。しかし、優良な成長株に関しては、表面的なバリュエーションの高さに惑わされないよう注意が必要だ。予想を上回る利益成長を達成し続け、良好なファンダメンタルズを維持できる企業は、足元では割高に見えても、後から振り返ってみれば全くそうではなかったということがよくあるからだ。
 
株式投資家にとってバリュエーションは重要だ。しかし、単に株価収益率(PER)の数値だけを見ても、その企業が割安か割高かは判断できない。正しい判断を下すためには、個別企業の競争力、収益、成長への投資がどのように行われているかといったことを分析する必要がある。そのためには、長期的な観点に基づくファンダメンタルズの分析が欠かせない。
 
高水準の利益成長は稀少で、また永続的なものではない。したがって、独自の戦略に沿って高成長を実現し続ける企業が平凡な企業よりも株式市場において高く評価されるのは当然のことなのだ。
 

予想を上回り続ける企業は希少

(以前の記事 『利益だけを見ていても成長企業はわからない』 ご参照) でも指摘したとおり、長期的な成長力を持った企業を発掘するには、潜在的収益力を示す投下資本利益率(ROIC)や総資産利益率(ROA)などのリターン指標が表面的な利益の数字よりもはるかに役立つ。ROICやROAからは、企業が利益成長のために行っている投資が適切なものかどうかを知ることができる。資本コストと呼ばれる一定水準を超えるROICを達成する企業は、長期的にアウトパフォームすることが多いのだ。そうした企業は一般的に、長期的成長の実現のため資本を効率的に投入し、利益拡大に資するような再投資を行い続けている。
 
予想を上回る成長を実現する企業には様々な形がある。まずは、シンデレラ物語のような、あるいは成長の初期段階にある企業、つまり今までなかった形で市場を変貌させて力強く成長する企業だ。医療ロボットメーカーのパイオニアであるインテュイティブ・サージカルや、デジタル広告を収益源とするフェイスブック、アルファベットなどがその一例だ。
 
また、クラウド・コンピューティング及びエンベデッド・ビジョンなどの急成長を遂げるテクノロジー分野において不可欠な高性能集積回路大手であるザイリンクスやスターバックスのように、成熟した大企業でありながら、新たな成長機会を生み出すべく自らを変革することにより収益成長の鈍化を克服してきた例もある 。
 
どちらの場合でも、これらの優良企業は、迅速かつ創造的に事業を展開し、市場を創り出すことによって不確実性を乗り越えてきた。消費関連を始めとするサービス、バイオテクノロジー、テクノロジーなどのセクターには、このような優れた企業が育まれやすい傾向がある 。
 
高成長企業のバリュエーションを測るのは容易ではない。破壊的創造により成長したフェイスブックを例に取ってみよう。同社株は上場以来5年間、常にその時点での予想収益水準に対して割高に見えた。しかし、同期間の同社の売上高、利益および1株当り利益は、常に市場の予想を超え続けた(図表1) 。
 
 
 
市場予想を上回り続けるフェイスブック.png
 
 
2012年に株式を新規公開して以来毎年、フェイスブックのバリュエーションは、正当化できないほど割高に見えた。しかし、今振り返ってみれば、当時の同社株がどれだけ魅力的な投資機会であったかがわかる(図表2)。この現象が将来にわたっても続くかどうかを判断するには、ファンダメンタルズを分析することが一助となるだろう 。
 
 
今振り返って見れば絶好の投資機会だった上場当時のフェイスブック.png
 
 
 
本稿のポイントはまさにここにある。成長企業が生み出す価値の大部分は将来的に実現されるものであり、過去を見てもわからないことが多いということだ。投資家は、この認識を受け入れるしかない。
 
成長株投資の成功の鍵は、その企業の業績予想の実現可能性を理解することにある。収益性の高い企業は業績予想を達成する可能性が比較的高い。そのような優れた企業は景気に左右されにくく、財務が健全であるため、自らの運命をコントロールすることが出来るからだ。また、市場から資金を調達する必要のない企業は大きな優位性を持っており、これは金利上昇局面や資本市場が不安定な局面で特に顕著となる。
 
もちろん、市場予想を上回る成長を期待できると思われた企業でも、投資家を落胆させるものはあるだろう。例えば、直近数年にわたり堅調に推移してきた住宅・建設セクターは、金利上昇に影響を受ける可能性がある。にも関わらず、投資家は足元の好業績が低金利による追い風という特殊要因によるものと捉えず、通常の成長だと思い込んでいるかもしれない。このような局面では、過去5年間の低金利のお陰であったに過ぎない業績を過大評価しないよう注意しなければならない。
 
高成長企業は激しい競争によるリスクにも晒される。利幅の大きなビジネスには強力な競争相手が現れるので、いずれリターンも平均的な水準に収斂して行おうとする。したがって、高水準のリターンはいつでも下落するリスクがあることを認識しておかなければならない。業績が良くても、それが企業の戦略により生み出されたものではなく、実力が過大評価されている場合には、特に注意が必要だ。  
 

持続性が重要

株価バリュエーションは相対的な概念だ。バリュエーションの低い銘柄が全て割安かというと、単に収益力の低い企業もあるので、そうとは限らない。同様に、バリュエーションが高いからと言って全ての銘柄が割高な訳でもない。非常に成長力の高い企業の場合、その潜在能力を市場がまだ十分理解していない可能性があるからだ。予想を上回る収益の価値をバリュエーションで測ることは難しい。しかし、持続的に予想を超えるパフォーマンスを示す企業の場合、現在の株価は高く見えても、実はまだ割安だったということになる可能性が十分にあるのだ。
 
 
 
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