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米国株式に関する5つの論点:AB運用者4人の見方

 

フランク・カルーソ 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
米国成長株式運用 最高投資責任者 
 
ジム・ティアニー 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
米国成長株集中投資戦略 最高投資責任者 
 
カート・フォイヤーマン 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
セレクト米国株式運用 最高投資責任者 
 
ケント・ハーギス 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
ストラテジック・コア株式運用 ポートフォリオ・マネジャー 
 
 

 

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2017年6月1日

 
 
 
S&P500が史上最高値を更新し、米国株式の先行きはどうなるのか?アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)の米国株式運用責任者4名が、バリュエーション、投資機会、リスクなど、足元の市場に関し考慮すべき
5つの論点について語ります。 
 

1. バリュエーションは高水準だが、債券と比べればまだまだ魅力的

フランク・カルーソ(米国成長株式運用 最高投資責任者):市場のバリュエーションが現在高水準にあるのは、もっぱらディフェンシブな銘柄、低ボラティリティ銘柄、高配当銘柄などが大きく買われた結果だ。S&P500指数全体を購入すると、こうした割高な銘柄も買ってしまうことになる。現在の米国株式のバリュエーションが歴史的に見て高いのは確かだが、それでも米国債と比較すれば依然として魅力的だと言える。そして、優れたアクティブ運用であれば、現状の市場においても投資機会を見出すことが出来る。たとえば、高クオリティ成長株は、その良好な財務状態が価格に織り込まれてプレミアムが乗った価格で取引されることが多いが、現在は市場全体並みのバリュエーションで購入できるものもそれなりにある。
 
カート・フォイヤーマン(セレクト米国株式運用 最高投資責任者):市場の調整はいつでも起こり得るが、株式は今回の8年間におよぶ上昇相場を通じ、一貫して債券市場と比べて魅力的なバリュエーションだった。確かにここ2~3年は、株価が実際の企業収益を上回るペースで上昇したことによりバリュエーションが上昇した。しかしここに来て、米国企業にとって有利な為替レート動向、エネルギー関連企業の収益改善、規制緩和を含む政府の成長戦略への期待など、幾つかの要因によって企業業績には追い風が吹いている。
 
信用スプレッドの拡大や強引な株式発行など、行き過ぎを感じさせるような兆候は見られない。むしろ、信用スプレッドは落ち着いており、上場企業の発行済み株式数は自社株買いなどにより減少している。
 
ケント・ハーギス(ストラテジック・コア株式運用 ポートフォリオ・マネージャー):企業業績は一時的な不振を乗り越えて世界的に改善しており、収益見通しも急速に上方修正されている。広範なリフレ政策と名目成長率の大幅な伸びが強力に株式市場を支えており、高水準のバリュエーションを正当化している。 
 

2. 局所的な投資機会は引き続き潤沢

カルーソ:米国市場は多様であるため、どのような局面であっても相対的に魅力的な投資機会は見つけられる。現在の市場においても、長期にわたり価値を創造し、短期的な市場変動の影響を受けにくい成長企業を見つけ出すことは可能だ。今後5年間の予想成長率とバリュエーションを対比してみると、ヘルスケアおよびテクノロジー・セクターは通信や公益などのセクターよりも魅力的だ。
 
フォイヤーマン:金融および一部の安定成長銘柄に魅力的な投資機会があると見ている。特に、高い実効税率が課せられている企業は、減税の恩恵を受ける可能性がある。ファンダメンタルズが強固で、海外からの資金還流に関するトランプ政権の優遇措置によって恩恵が生じるようなテクノロジー銘柄も魅力的だ。金融銘柄は直近で既に上昇しているが、収益低迷への懸念からバリュエーションはまだ低水準にとどまっている。今後、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策の正常化により利ざや改善や、政府による規制緩和が進めば、金融セクターは恩恵を受けると見ている。消費財セクターは、国境税導入への懸念が重石となっているものの、全ての企業が等しく影響を受ける訳ではないので、個別銘柄ベースの投資機会を見つけることは可能だ。
 
ジム・ティアニー(米国成長株集中投資戦略 最高投資責任者):米大統領選挙以来、景気敏感セクターが大幅に上昇し、比較的割高になった。しかし、事業が長期的な成長トレンドにある企業の中にもこれまで過小評価されてきたものがあり、今の水準でも大変魅力的だと考えている。例えば、2016年に低迷していたヘルスケア・セクターなどは大変興味深い。3月に医療保険制度改革 (オバマケア)の撤廃と代替案の成立を目指した共和党の試みが失敗に終わったことで、医療保険制度改革は一旦棚上げされた。そのお蔭でヘルスケア・セクターの重石となっていた不透明感は目下のところ後退している。
 

3. 過信が一番の懸念材料 

フォイヤーマン:市場で投資家の楽観論が高まっていることは、心配している。個人投資家は近年になく株式投資に積極的な様子だが、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数が大幅に落ち込んでいる足元の低ボラティリティ環境は強気のサインではない。簡単に言えば、この上昇相場で投資家はずっと警戒感を維持してきたのに、最近になって警戒感が薄れてきたということだ。
 
 
 
 
米国株式:セクター別で見るとバリュエーションに偏り.png
 
 
 
 
 
ティアニー:VIX指数が示す市場心理には要注意という点は同感だ。昨年の英国によるEU離脱(Brexit)決定やトランプ大統領選出のような大きなイベントですら市場のボラティリティを上げることはなかった。この点は注視に値する。
 

4. 貿易戦争が市場に与える悪影響

ハーギス:通商問題が貿易戦争へと拡大する可能性を注意深く見守っている。自由貿易に対する障壁、関税、反移民政策、そして米ドル高などの要因が、ようやく回復し始めた成長の勢いを鈍らせ、過去数十年にわたるグローバリゼーションの恩恵に浴してきた市場の一部を脅かすリスクがある。保護主義的政策が賃金の上昇と原油価格の上昇と相まってインフレを煽りたてるかも知れない。金利上昇局面では経済成長も加速することが多いため、株式市場も一般的に上昇する。しかし、FRBの利上げペースに遅れが感じ取れれば、株式市場にはリスクにさらされる部分も出てくるだろう。
 

5. 政治リスクによる混乱は投資機会をもたらすことも

カルーソ:トランプ大統領の在任期間中ずっと、株式市場が上昇し続けると思い込むのは危険だ。少なくとも、トランプ大統領の予測不能なやり方は市場にボラティリティをもたらすだろう。3月にはオバマケア撤廃を巡る議会での失敗を受けて米国株式は下落しており、市場ではトランプ大統領が経済政策に関する公約を実現できるかどうか懸念する声が高まっている。
 
フォイヤーマン:共和党の掲げる成長戦略路線は成功すると考えるものの、税制改革法案の成立は予断を許さない。共和党保守派は、どのような形であれ、歳入全体に影響を及ぼさない税制改革を望んでいると見られ、国境調整税の導入によって減税による減収を補うことを求めるかもしれない。税制改革の論議がどのように展開していくのか、注意深く見守る必要がある。トランプ大統領は民主党中道派の支持を求めるだろうか? 
 
ティアニー:米国のみならず世界各地で政治的リスクはくすぶり続け、しばしば市場の混乱を呼ぶだろう。しかし、そのようにボラティリティが高まった局面は、アクティブ運用にとっては、政治的リスクに左右されない強固なファンダメンタルズや優れた事業内容を持つ銘柄を購入する好機となり得る。  
 
 
 
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

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