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新興国が最先端に立つ新たなテクノロジー

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ロラン・サルティエル(写真) 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
インターナショナル大型グロース株式運用
エマージング・マーケット・グロース株式運用
最高投資責任者
 
ナヴィーン・ジャヤスンダラム    
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
グロース株式 リサーチ・アナリスト
 
 
 

 

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2017年4月25日

 
 
 
テクノロジーを取り入れることに関し、新興国は先進国に遅れをとることが多いとされてきた。だが、そうした状況は変わりつつある。新興国やその企業は急速にインターネットのトレンドを決める役割を担うようになっており、特にオンライン・ショッピングやモバイル決済の分野でそうした傾向が目立っている。
 
新興国はテクノロジーの模倣が得意だというのが一般的な認識だ。最近中国で成長し始めた企業向けクラウド市場から、インドの爆発的な携帯電話ブームに至るまで、新興国は米国などの先進国が先導してきたテクノロジーを後追いすることが多い。
 
しかし、最近ではインターネットの普及により競争環境が同質化しつつあり、多くの新興国企業が新たなビジネス機会を捉えている。さらに、新興国から生まれるイノベーションに注目する先進国企業も増えると見られ、こうしたトレンドは投資家が新興国株式市場における投資機会を見極める上で重要な意味を持っている。 
 

電子商取引が爆発的に拡大  

市場環境の変化の主役はオンライン・ショッピングだ。新興国では国民1人当りの可処分所得は少ないものの、電子商取引の普及率が先進国を上回っている国もある(次ページの図表1)。一部の新興国では、むしろ従来型の小売業のインフラが未発達であることが電子商取引会社の成長を後押ししている。
 
 
 
 
韓国と中国が電子商取引市場を先導.png
 
 
 
インドと韓国がその好例である。インドでは小売セクターの90%が依然として組織化されておらず、ブランドもないケースが多い。米国や欧州におけるウォルマート・ストアーズやカルフールのように大規模な店舗網を築き上げて消費者を獲得する従来型の小売業者は生まれなかった。その結果、インドではすでにオンライン・ショッピングの利用率がイタリアを上回っており、国民1人当りの可処分所得が世界で最も高い国の一つであるシンガポールをも近いうちに追い越す見通しだ。
 

モバイル決済も急拡大

新興国はモバイル決済の分野でも先駆者となっており、先進国を大きくリードしている。例えば、米国ではグーグルやアップルがそれぞれの決済プラットフォームを積極的に売り込んでいるにもかかわらず、モバイル決済は依然として普及が進んでいない。米連邦準備制度理事会(FRB)が2016年3月に実施した調査によると、米国のスマートフォン利用者のうち過去12カ月に端末を使って支払いをしたことのある人は4分の1に過ぎなかった。
 
対照的に、中国ではスマホ利用者のうち決済に端末を使っている人の割合が86%に上ることが調査会社ニールセンの調べで分かった。中国の決済プラットフォーム大手アリペイは3億人近い利用者を抱えており、2015年の決済処理額は5,000億米ドルを突破した。アリペイは電子商取引市場の巨人アリババ傘下にあり、中国で最も人気のある決済プラットフォームだ(図表2)。航空券の購入から深夜に屋台で飲食した際の支払いまで、あらゆる決済に用いることができる。アリババやテンセントなどのインターネット企業は、オンライン決済を手掛かりに融資、保険、資産運用といった分野にも事業を拡大しようとしており、長期的には伝統的な銀行に対する挑戦者となる可能性がある。
 
 
 
 
中国の消費者はオンライン決済革命の最先端に.png
 
 
 
 

高成長市場に潜むリスク   

こうした高成長分野におけるテクノロジーのイノベーションはリスクもはらんでおり、例えば先行企業であっても後発企業に敗退することがままある。インド最大のオンライン・ショッピング会社であるフリップカートの経験は、それを如実に物語っている。
 
フリップカートはアマゾン・ドット・コムがインド市場に参入する6年前の2007年に設立された。しかし、アマゾンは中国での失敗を教訓に、インドでは3年間に50億米ドルを投じてはるかに積極的な事業展開に乗り出した。強力な現地チームを作り上げ、今では国内100都市で同日配送サービスを提供している。フリップカートはアマゾンの脅威に立ち向かおうとしたもののかなわず、市場シェアを失い、株価も落ち込んだ。インド市場は依然として流動的で、今後5年間で約1億5,000万人の消費者がオンライン購入を始めると推定されるため、まだまだ状況が急速に変化する可能性がある。
 

新興国でイノベーションを追求   

イノベーションは、新興国株式の投資家にとって大きな課題であるとともにチャンスをももたらす。真のパイオニア企業を見つけ出すには、標準的な株式評価指標を用いて成長力や収益性を調べることだけでは足りない。投資家は現地の消費トレンドや消費者の嗜好を深く理解すると同時に、当該企業の業界独自の評価基準に注目する必要がある。そうした基準は、一般的な指標よりもはるかに役立つことが多い。
 
例えば、一般消費者を対象とするインターネット企業を調べる上では、顧客の「生涯価値」を測ることがとりわけ重要となる。これは、顧客との取引関係が始まってから終わるまでの間に、企業がどれだけ収益を上げているかを判断する手掛かりとなる。そして、それはユーザーの獲得コストと定着率によって左右される。これを基準にすれば、インドにおける電子商取引のパイオニア企業のスコアは低く、売上や収益などの単位当たりの経済性の低さに悩まされていることが分かる。
 
企業の持続力を測る上では、参入障壁も重要な指標となる。フリップカートの例でも分かるように、新たに生まれた業界では競争環境が急激に変化する可能性があり、事業の命運を左右する要因となる。インドとは異なり、中国のインターネット分野における巨大企業は、政府の規制や強力なネットワーク効果をもたらす独特の資本構造のおかげで、外国勢との競争から強固に守られている。テンセントの傘下にあり、8億5,000万人近いユーザーを抱えるメッセージング・アプリのウィーチャットなどが例として挙げられる。
 
高成長分野や幅広い地域における勝者を予測することは容易ではない。昔からの考え方を問い直し、全く同市場はないということを認識することが、新興国のトレンドセッターを発掘する第一歩となる。そうした企業は、絶えずイノベーションを推進し、グローバルなリーダー企業となり、持続的な投資リターンの創出に貢献するであろう。
 
 
 
 
 
 
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.abglobal.com/post/en/2017/03/emerging-markets-blaze-new-trails-in-technology

 

 

 

 
 
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