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新興国市場は目立たないスーパースターの宝庫

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鈴木 清一郎
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
ストラテジック・コア株式運用
ポートフォリオ・マネジャー
 

 

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2017年3月28日

 
 
 
優れた企業は世界中どこからでも出現し得るが、新興国でも思いのほか多い。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)は「明日のスーパースター」を生み出す可能性のある3つの大きなトレンドに注目している。グローバルに投資機会を求めるポートフォリオにとって、このトレンドは無視できないものだと考えている。
 
新興国株式の市場環境は改善している。企業の業績見通しに加え、新興国経済全体の好不調を比較的高い精度で反映する中国の電力需要や鉄鋼・セメント生産、マカオのカジノ利用者数といった指標も上向いている(図表1)。また、多くの国で財政収支の改善や資本市場の改革が進展し、経済の足腰が強化されている。そして、新興国株式市場のバリュエーションは先進国市場と比べ依然として魅力的な水準にある。
 
 
新興国の成長指標は安定化.png
 
 
とはいえ、まだ多くの問題も残っている。米国の金利引上げや、トランプ政権の掲げる保護主義的な貿易政策によって生じ得る影響は、引き続き注視していく必要がある。それでも、すべての新興国や新興国企業が均等に脆弱性を持っているわけではない。ファンダメンタルズには格差があるため、シグナルと雑音を聞き分けることができれば、投資家は幅広い候補の中から優れた投資先を選び出すことができる。
 
ABでは、こうしたマクロ経済に関する懸念を考慮してもなお、さまざまな投資機会を引き続き見い出すことができると考えている。以下、今後数年にわたり新興国市場の投資環境を形作るとみられる3つの大きな潮流を挙げてみたい。
 

プレミアム化: 高級品志向が拡大

新興国では中間所得層が拡大しつつあり、高級品に対する旺盛な購入意欲を示している。こうした「高級品シフト」は、とりわけ中国で顕著に見られる(図表2)。中国では、2020年までに中間所得層上位の人々や豊かな都市住民が都市部の実質可処分所得の約半分を占めるようになると予測されており、これは2010年の倍の水準である。こうした動きはインドでも拍車がかかっている。
 
 
中国の消費者は引き続き高級品にシフト.png
 
 
米国製ピアノ「スタインウェイ」から韓国の化粧品「アモーレパシフィック」まで、プレミアム化の波に乗って海外の高級品に対する中国人の需要は拡大している。さらに、日本製使い捨ておむつの「メリーズ」やコーヒーの「スターバックス」など、大量に消費される高級品の売上も押し上げている。
 
そうした現象は食品にも広がっている。中国人は以前と比べ、はるかに多くの豚肉、鶏肉、牛肉を消費している。しかも都市部に移り住む人が増えるのに伴い、パッケージ食品の購入が増えている。中国のWHグループの傘下にあるスミスフィールド・フーズやウォルマート傘下にある中国のサムズ・クラブといった企業は、こうしたトレンドをつかんでいる。
 
一方、箱入りミルクのブライト・デイリー・アンド・フード(光明乳業)や飲料のノンフー・スプリング(農夫山泉)など、中国の消費財ブランドも質の高い商品を重視する方向に戦略を変えつつあり、原材料の質の高さを強調している。現地高級ブランドは、徐々に消費者の信頼を得つつあり、それに伴い海外ブランドからシェアを奪っている。
 

グローバルな舞台に登場する新興国の大企業

 
新興国の多国籍企業は知名度の高い先進国企業ほどグローバルな事業展開は行っていない。しかし、彼らはそれぞれ独自の方法により国外で発展を遂げている。
 
新たに生まれたそうしたグローバル企業は、さまざまな経路で成功を収めてきた。一部の企業は海外市場に進出するにあたり、国内で確立したブランドを跳躍板として利用した。例えば、トルティーヤを製造するグルマは、メキシコで培ったブランド力を糧に米国でも圧倒的なシェアを獲得した。ブラジルの航空機メーカーであるエンブラエルや韓国のサムスン電子などは、低コストの国内生産体制や優れたエンジニアリング能力をグローバル市場で通用するイノベーションに発展させた。
 
台湾のスマートフォン向けレンズ・メーカーであるラーガン・プレシジョンや無ブランドのサーバーを提供するクアンタ・コンピュータなど、ニッチな市場で世界をリードしている企業もある。ブラジルのヴァーレなどの一部の資源会社は、マーケティングや物流に対する賢明な投資を通じてグローバルな巨大企業となった。新たな、あるいは改善されたビジネスモデルを構築し、それを異なる市場で展開した企業もある。例えば、企業買収を管理する強力なITシステムを開発した結果、世界最大規模の生コンクリート・メーカーとなったメキシコのCEMEXや、インドの製薬会社およびITアウトソーシング会社などが挙げられる。
 

中国の不都合な真実

 
アジア地域の新興国では、深刻なスモッグが経済や人々の健康に重大な問題を引き起こしている。最近実施されたある調査によると、大気汚染が原因で早逝した人は2015年は世界全体で420万人以上に上るが、そのうち約半分を中国とインドだけで占めている(図表3)。
 
 
中国とインドでは深刻なスモッグへの対策が必要.png
 
 
中国とインドでは、国民の怒りが高まる中、大気汚染問題への取り組みを政府に求める圧力が高まっている。中国は石炭を燃料とする火力発電所の環境汚染防止基準を強化したほか、再生可能エネルギーへの投資を継続し、セメント、製紙、造船、アルミニウム、ガラス、鉄鋼などの業界における旧式設備の廃棄を徐々に進めている。インドははるかに後れを取っているものの、いずれ中国と同じような措置に多数着手する可能性がある。
 
そうした動きは株式投資にとってさまざまな意味を持つ。明らかに恩恵を受けている業界の1つはコモディティ輸出セクターで、供給ひっ迫を背景に価格が上昇している。資源会社の収益性の改善は銀行収益に対する圧力を和らげる効果もある。銀行の抱える不良債権が減少するからだ。再生可能エネルギー会社や機器メーカー、クリーンパワー技術(電気自動車、省エネ機器、省エネ建材など)、天然ガス生産会社などに加えて、石油精製会社もガソリンの品質基準引上げで利益率が上昇するため、見通しが明るくなっている。
 

深く掘り下げる必要

 
変革を引き起こすこれらの力は、新興国の企業に成長や繁栄をもたらす新たな活力を与えている。しかし、こうしたテーマから生まれる勝者は、個別企業要因に拠るところが大きいであろうことに留意が必要だ。このため、将来にわたり他の企業より優れたパフォーマンスをあげそうな新興国企業を発掘するには、現地についての深い知識やグローバルな業界に関する洞察力に基づく徹底したリサーチや、リスクを正確に探知するレーダーが不可欠となる。
 
 
 

 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.abglobal.com/post/en/2017/03/EM-megatrends-hidden-in-plain-sight

 

 

 

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当資料は、2017年3月8日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。

 
 

 

 

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