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トランプ政権下における銀行ハイブリッド証券の投資機会

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花井 ゆき子 

アライアンス・バーンスタイン株式会社
執行役員 債券運用調査部担当 クレジット・アナリスト

 

 

 

 

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2017年3月8日

 

米国のトランプ新大統領の就任による投資家への影響に関しては、もっぱら株式や外国為替を中心に語られることが多い。では、債券投資に関してはどのような影響があるだろうか。ここでは、近年の世界的な低金利環境を背景に社債市場において存在感を増している銀行セクターに焦点を当ててみたい。
 
過去数年間、投資家が利回りの追求とリスクとの適切なバランスを模索する中、銀行が自己資本規制を充たすために発行する「ハイブリッド証券」(株式と債券の中間的な性格を備えた証券)が重要性を増してきた。足元でも、2008年の世界金融危機の反省を経て改訂されたバーゼルⅢ規制に適合した劣後債や、総損失吸収能力(TLAC)規制*に対応した債券など新しい証券が活発に発行されている。
 
トランプ政権の誕生は、こうした証券にどのような影響を与えるのだろうか。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、銀行セクターは同政権により最も恩恵を受けるセクターのひとつであると考えている。その背景には大きく4つの要因がある。
 
・ 経済成長: 財政拡大などの経済政策が経済成長率を加速させると予想されており、ローン残高の増加と貸倒れの減少が期待できる 
 
・ 金利上昇: 経済成長にともなう金利上昇は、銀行の利ザヤを拡大させ収益に好影響を与える 
 
・ 規制緩和: 詳細はまだ不明であるが、世界金融危機を受けて制定されたドッド・フランク法などの修正により銀行がリスクを取り易くなれば、収益が改善する可能性がある。ただし、資本規制や破たん処理規制などが大きく緩和されれば、銀行の安全性が低下するリスクもある。
 
 2017年2月3日の大統領令では、金融行政の基本ポリシーとして、(1)米国民の独立した金融判断を尊重し、退職金の積み上げと資産形成を助けること、(2)税金を使った銀行救済を阻止すること、(3)米国の経済成長と活気ある金融市場の育成のために、より厳格な規制が与える影響について、モラルハザードや情報の非対称性などが引き起こした過去の金融危機を分析すること、(4)米国企業の競争力に資すること、(5)国際的な金融規制策定において米国の利益を考慮しこれを主導すること、(6)効率的で効果的な規制を作ること、(7)連邦金融規制を合理化しその信頼を取り戻すこと、という7つの点が確認された。さらに、財務長官に対して、現行の法令・規制などがこの基本ポリシーに対して整合性があるかどうか、120日以内に調査・報告することを指示している。
 今後、どのような形でこうした方向性が立法されるのか、注視して行く必要がある。
 
・ 減税の影響: 米国銀行は実質税負担の最も高いセクターのひとつであり、法人税減税などの好影響を受け易い
 

堅調な見通しだが、銘柄選択がカギ

当面、米国では拡張的な財政政策により成長が続くと考えられ、セクター別の影響は異なるものの、全体としては米国企業、ひいては世界経済に恩恵をもたらすと考えられる。これは、マクロ経済の影響を受けやすい銀行セクターの債券にとっては力強い追い風となろう。
 
米国銀行の2016年10-12月期決算では、金利収入やトレーディング収益が上昇し、総じて堅調な結果となった。欧州銀行の多くもバランスシート調整や資本増強を継続的に進めており、全体的なリスクは減少している。ABでは、銀行セクターのファンダメンタルズは長期的に改善する方向にあると考えており、トランプ政権は基本的にこれを後押しするものと見ている。
 
考慮すべきリスクとしては、規制対応のために銀行が大量の社債を発行していることから、需給に一時的な緩みが生じ得ることや、欧州を中心とした一部の個別銀行に関するニュースや政治イベントの影響などが挙げられる。また、トランプ政権の保護主義的な政策がグローバル経済にマイナスの影響を与える可能性もあり、同大統領による前例のないコミュニケーション・スタイルも金融市場のボラティリティを高めると見られる。
 
こうしたリスク要因も念頭におくと、銀行セクターにおけるハイブリッド証券を中心とした債券投資に関しては、入念なリサーチに基づき個別行のファンダメンタルズを見極める銘柄選択がきわめて重要であるとABでは考えている。加えて、グローバルな観点から市場の資金フローや政治イベントにもきめ細かく目を配る、充実した運用プロセスやリスク管理体制も不可欠であろう。
 
 
 
 
*TLAC = 巨大銀行が実質破綻となった際に、グローバル金融システムに影響を与えずにスムーズに破綻・再生処理を進めるために使用される損失吸収資本・負債バッファー 
 
 
当資料は、2017年3月2日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が作成した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社はABの日本拠点です。
 

 

 

 

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