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オルタナティブ投資を取り巻く市場環境に変化の兆し

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マーク・ガムシン
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
オルタナティブ投資運用
共同最高投資責任者
 
 
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グレッグ・アウトカルト
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
オルタナティブ投資運用
共同最高投資責任者
 
 
 
 
 

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2017年2月22日

 
 
 
オルタナティブ投資の成功は、株式指数の上昇といった市場全体の動きではないものから得られるリターン、いわゆる「アルファ」の創出にかかっている。ここ数年はそのようなリターンを生み出すことが難しかったが、2017年は風向きが変わる可能性がある。
 
2016年は、規制強化や低金利など、数多くの要因がオルタナティブ投資にマイナスに作用した。特に米国の大統領選挙以降は、ボラティリティが低下するとともに株式市場が安定的に上昇したことから、単に市場全体の動きを追う投資、つまり「ベータ」戦略が優位となった。
 
だが、そうした状況がいつまでも続くとは考えにくい。実際、2017年以降のオルタナティブ投資のリターンを押し上げ得る大きなトレンド変化がいくつか現れつつある。
 

空売りの機会が拡大

過去数年間は世界の主要国の中央銀行が積極的な金融緩和策を続けてきたため、株式市場では優良とは言い難い銘柄も含めてすべての株式が一様に上昇し、一部の株式で売り持ちポジションを取るロング/ショート戦略が収益を上げることは困難であった。しかし、2016年は個別銘柄の間でパフォーマンス格差が拡大し始め、投資家は良い投資先とそうでないものを峻別する必要に迫られている。これは、「株式ヘッジ」とも呼ばれるこの戦略にとって空売りの機会が拡大したことを意味する。
 
現在、中央銀行の政策の方向性はまちまちである。米連邦準備制度理事会(FRB)はすでに利上げに着手しており、2017年はさらなる利上げが見込まれている。このことは一部の企業や業界、資産クラスにとって逆風となる可能性がある。また、日本とユーロ圏の中央銀行は依然として積極的な緩和策を続けているが、それらの政策が市場全体に与える恩恵はやや薄れてきた。
 
金利が高い時期は、ポートフォリオ・マネジャーが空売りを行った際に得たキャッシュが高い利回りを獲得できることを意味し、リターンを押し上げるチャンスが拡大する。過去の実績を振り返ると、金利上昇局面は株式ロング/ショート戦略(もっと言えばアクティブ運用全体)に利益をもたらしてきた。
 

企業買収の活性化

2016年は企業買収(M&A)の動きが活発化し、イベント・ドリブン戦略にとって良好な1年だった。その状況は2017年も続くと思われる。収益源となる、買収価格と足元の株価のスプレッドは、いくつかの大型買収案件が頓挫あるいは先送りされた1年前ほどは大きくないが、それでも依然として魅力的な水準にある。
 
企業は引き続きバランスシート上に潤沢なキャッシュを抱えている。いわゆる「物言う投資家」はそうした企業に対し投資家への資金還元を求めているが、長引く低金利環境の中、多くの企業にとってはM&A活動により収益拡大を目指す方が資金の活用方法として望ましいと考えられる。
 
規制緩和もM&A活動の追い風となり得る。ここ数年は企業買収に対する当局の調査が厳しくなってM&A活動が鈍化したため、多くのイベント・ドリブン戦略のリターンが影響を受けた。しかし、2016年11月の米国大統領選挙や連邦議会選挙における共和党の勝利によって、再び規制緩和の機運が高まると見られる。さらに、米国企業が海外で保有している現金を米国に還流させるために、新政権がそうした資金への課税を減免する可能性がある。これは、イベント・ドリブン戦略やスペシャル・シチュエーション戦略に多大な投資機会をもたらすものとなるかもしれない。
 

クレジット戦略では相対価値の格差が不明確に 

2016年はハイイールド債市場が急伸したため、社債のリスク・プレミアムに着目するクレジット戦略が力強い回復を遂げた。2015年からの原油価格下落に圧迫されたエネルギーや鉱業セクターなどのディストレスト債に投資する戦略は、非常に好調なパフォーマンスをあげた。しかし、その後原油価格が回復していることもあり、2017年の見通しはさほど明確でなくなっている。投資家による利回り追求は依然として活発だが、利回りスプレッドが縮小しているため、クレジットやディストレスト債を中心とした戦略にとっては相対価値の格差が見つけにくくなっている。
 
したがって、クレジット戦略や相対価値戦略の多くは、純ロング・ポジションを縮小する一方でキャッシュ比率を引き上げ、劣後債よりも返済優先順位の高い債券を選好することでリスクを圧縮している。
しかし、もちろん投資家が目を光らせて物色すれば、投資価値のある分野は常に存在する。例えば、政治的な不透明感やマクロ経済的な問題が魅力的な投資機会をもたらす可能性のある欧州は注目に値するかもしれない。
 
また、証券会社や銀行などのディーラーが自己勘定で保有する債券の在庫が少なく、市場の流動性が依然として乏しいことにも留意すべきである。これは、手元資金の一部を温存しているクレジット戦略やイベント・ドリブン戦略の運用者にとっては、2015年の原油市場急落や翌年の急回復のような大幅変動局面で、うまく市場の過剰反応を利用して投資機会を捉えることができる可能性を意味する。
 
クレジット戦略や相対価値戦略は一般的に、市場全体の動きを示す指数との相関度が低いかマイナスである。そして、金利が上昇し、ボラティリティが高まり、債務不履行が増加する局面では好調なパフォーマンスをあげる傾向がある。
 

グローバル・マクロ戦略は政治的混乱を味方にできるか?

予測が難しくなっているのは中央銀行の政策ばかりではない。世界中で政治的な不透明感が高まっている。その結果、通貨、株式、金利の動きがバラバラになり、世界各国の経済動向にも大きな格差が生じる可能性が高い。そうした状況は、様々な資産クラスにまたがるグローバル・マクロ戦略に投資機会をもたらすことになろう。
 
現在の市場環境において最も魅力的なマクロ戦略は、通貨、株価指数、金利といった最も流動性の高い資産に焦点を当てた裁量的取引主導型だ。ABでは、2017年は引き続き政治や政策変更が急激な市場の反転を引き起こす可能性が高いと考えており、これらの戦略は不安定な市場環境に最も適している。一方、アルゴリズムを駆使したシステム主導型戦略はモメンタムをより重視しがちであり、トレンドが予想外に転換すれば損失を被る可能性がある。
 
特に、金融政策や財政政策ばかりでなく経済成長率にも格差が生じている新興国市場では、相対価値に基づいた投資機会が豊富に生じるだろう。
全体として、今年は市場が一段と不安定化し、各国の金融政策のかい離が進み、世界中(特に先進国)で政治動向が予測しにくくなると見られる。特に、米国金利が上昇する見通しであることは大きい。しかし同時に、米国の成長率が上向いているほか、多くの新興国で経済ファンダメンタルズが改善している。そうした中、市場は不安定な動きになると予想されるが、ABでは、オルタナティブ戦略にとっては幅広い資産クラス全体にわたってアルファを創出する機会が増えると見ている。

 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.abglobal.com/post/en/2017/02/the-investing-landscape-in-2017-fertile-ground-for-alternatives

 

 

本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスの過去のパフォーマンスは将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。 
 
当資料は、2017年2月2日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。

 

 

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