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日本株式市場の回復は持続するか

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堀川 篤
アライアンス・バーンスタイン株式会社
日本バリュー株式 共同最高投資責任者 
 
 

 

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2017年2月14日

 
 
 
英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票や米大統領選挙以降、日本株式市場はおおむね堅調に推移している。当面ドナルド・トランプ新大統領の発言に振り回される場面も多くあるだろうが、この回復はファンダメンタルズ改善の裏付けもあり、持続力があるとアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では見ている。
 
2016年の日本株式市場は、海外要因に大きく左右された。前半は、英国の国民投票や米大統領選挙を控えて不安定な地合いが続いた。英国のEU離脱決定とトランプ氏の当選がいずれも事前の市場予想とは異なる結果であったにもかかわらず、直後のグローバル金融市場の反応が限定的であったことなどから、日本株式は反発した。
 
単なる短期的なリスク・オフ、リスク・オンの繰り返しのようにも見えるが、ABでは今回の回復局面にはより中長期的な要素が背景にあると見ている。この数年間における日本の経済や企業のファンダメンタルズの改善が市場に十分評価されていなかったことや、多くのセクターおよび銘柄が投資家不安に圧迫されて大幅に割安となっていることにより、投資機会が生じているという見方である。
 

投資家不安の後退

2012年に始まったいわゆるアベノミクス相場は、2015年には勢いを失い、日米の金融政策の先行きや中国経済のハードランディングなどへの懸念、円高の再燃などから2016年央にかけて大幅に後退した。リスク回避指向が強まる中、より「安全」な低ベータ銘柄に投資家の人気が集まり、より変動性の大きな高ベータ銘柄は不人気となった。株価収益率などのバリュエーションが低いバリュー株も投資家にはそっぽを向かれ、割安銘柄と割高銘柄のバリュエーション格差は稀に見る水準にまで拡大した。
 
しかし、英国の国民投票と米大統領選挙を経て、足元の日本株式市場は堅調に推移している。そして、市場が上昇しているだけではなく、長期にわたって投資家不安により生じていた市場の大きなゆがみが修正され始めた。例えば、高ベータ銘柄や、株価収益率などで見た割安銘柄もアウトパフォームし始めた(図表1)。
 
 
行き過ぎたリスク回避指向が修正へ.png
 
 

 構造的要因が市場回復を下支え

米大統領選挙後の市場の上昇は、円安が大きな要因となっている。しかし、それだけでは説明がつかない。円高が進んだ英国のEU離脱決定の後も同様に上昇していることも考える必要がある。
 
市場に織り込まれた過剰なリスク・プレミアムが解消されつつあると同時に、株価に十分に織り込まれていないファンダメンタルズの改善が評価され始めたと見るのが妥当であろう。
構造改革もここ数年間にわたり、目立たないながらも着実に進んでいる。例えば、コーポレート・ガバナンスの改善である。外部取締役の設置といった措置に加え、株主利益の重視が進んだ結果、配当や自社株買いによる株主還元も明らかに拡大している(図表2)。 
 

自社株買いや配当といった株主還元が拡大.png

 

自助努力により収益力を高めた企業も多く、2012年以降の円安の効果を除いてみても、企業収益は増加している。例えば、半導体製造装置のSCREENホールディングスは、洗浄装置では圧倒的な市場シェアを誇るものの、以前は同様に主要製品の市場シェアが高い世界の半導体関連企業と比べると大幅に利益率が低かった。しかし、利益重視に舵を切った経営陣の下、近年同社は明確に利益率を改善している。また、総合化学会社の旭化成は、利益変動の激しい汎用化学品から収益性が高くかつ安定しているヘルスケア分野や建設関連、特殊化学品などへと事業ポートフォリオをシフトし、利益率とその質を大きく向上させている。このような経営改革によって、多くの企業が景気の循環的な減速に対して抵抗力をつけている。
 
市場が2016年後半のような急速なペースで上昇し続けられるとは考えにくい。しかし、ABでは、ファンダメンタルズの改善等を考えると日本株式市場にはまだ大きな回復の余地があると見ている。そして、近年市場で過剰な悲観が広がる中で過小評価されたままとなっている企業を発掘することが、市場回復の恩恵を最も大きく受ける方法であると考える。
 

 

 

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