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トランプ政権誕生で加速する株式投資の新局面

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シャロン・フェイ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー 
株式部門責任者 兼 最高投資責任者


 

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2016年12月26日

 
 
 
米国における超低金利は過去のものになりつつある。このことは、株式市場において「安全」銘柄バブルが崩壊する一方、長らく見放されていた銘柄に新たな投資機会が生じる可能性を示唆している。
 
ドナルド・トランプ氏は米国大統領選挙に出馬するにあたり、世の中をひっくり返そうと考えていたようだ。しかし、近年の市場におけるある頑ななトレンドが、同氏の当選によって大きく変化するかもしれないとは、本人も思いもよらなかったかもしれない。
 
トランプ氏が掲げていた大型財政支出案は、同氏の当選後に米国債利回りの大幅上昇を呼んだ。7月には一時1.4%まで低下した10年物米国債利回りは、11月21日時点で2.3%まで上昇している。インフレ率上昇の見通しを受けて米連邦準備制度理事会(FRB)は12月に金利引き上げに踏み切っており、2017年にも利上げを継続すると見られている。しかし、この長期金利の上昇は、さまざまな大きな変化の中の一番目に付くものであるに過ぎない。
 

株式市場の潮流変化

株式市場では、より深層における潮流の変化が起きつつある。近年の株式市場で顕著だった、低金利と市場変動率の高まりに後押しされた「安全」銘柄への逃避は、今後金利上昇が続けば大きな転換点を迎える。そして、「安全」銘柄が一般に思われていたほど安全ではないことも明らかになろう。
 
国債利回りが超低水準で推移する中、投資家は債券の代替資産として公益事業、不動産、生活必需品といったセクターの高配当利回り株式を選好していた。そうした銘柄は株価バリュエーションが非常に割高となった上に、インデックス運用の流行によってさらに無差別な資金流入が進んだ。
 
米大統領選の前から、そのような「安全」銘柄への逃避が行き過ぎたものとなり、反転が始まりつつある兆候は見え始めていた(以前の記事『Playing It Safe or Playing with Fire?』(英語)参照)。そして選挙後はその新たなトレンドが加速し始めている。公益事業や生活必需品などのセクター、あるいは比較的値動きの小さい(「ベータ」値が全銘柄の下位20%に入る)銘柄は、市場全体に対しアンダーパフォームしている。
 

金利上昇に伴う二つのシナリオ

金利が上昇する中、大きく二つの流れが予想される。一つは、債券価格の下落を受けて投資家の株式へのシフトが進み、株式市場全体が上昇するというものだ。しかし、これは今後生じるであろう現象のほんの一部分にすぎない。
 
二つ目は、「安全」銘柄から景気敏感銘柄へのシフトが持続的に進むことだ。つまり、投資家が先を競って「安全」銘柄からの脱出を図る可能性がある。
 
「安全」銘柄バブルの崩壊を予想するのには十分な根拠がある。近年、株価指数連動のETF(上場投資信託)に大量の資金が流入する中、投資家による企業のファンダメンタルズの検証が不十分になっていたことが背景にある。割安な景気敏感セクターへのローテーションが始まった今、債券代替資産とみなされているために債券価格との相関度が高い銘柄から、投資家が脱出し始めているのだ(以前の記事『Rate Shock for High-Yield Stocks?』(英語)参照)。
 

投資家はどうすれば?

この新たなトレンドが加速した場合、投資家がすべきことは何か。第一は、「安全」銘柄バブルが崩壊する中、株式投資に関しより広い視野を持つことだろう。市場の一部でバブルがはじけると、市場全体のリスクが高いように感じてしまうかもしれないからだ。実際にはもっと複雑なことが起こっているかもしれない。例えば、2000年にITバブルが崩壊した時は、それまで「オールド・エコノミー」と揶揄されていた資本財やエネルギーなどのセクターが好調となった。その中でも、割安なバリュー株は大幅に市場を上回るパフォーマンスを示した。今回の局面では税制や規制に関し大きな変化が予想されるため、入念に個別銘柄のリサーチを行うことによって勝ち組・負け組の判定を行う必要性が高まっている。
 
視野を広げて俯瞰してみると、「安全」銘柄バブルが崩壊する中でより良い結果を生むためには三つのアプローチが考えられる。
 
・高い収益成長力に着目:
それぞれの事業分野における競争力、好ましい業界トレンド、優れた経営陣などによって高い成長力を持つ銘柄は有望だ。トランプ政権は、米国企業の海外収益の還流を促進する税制措置を検討していると報道されており、これは規制緩和の恩恵ともあいまって、ヘルスケア・セクターなどの成長企業にとって追い風となる可能性がある。また、現在の市場では、収益力の高い企業の株価が非常に割安なバリュエーションとなっている(図表1)。
 

 

 

米国の高収益力銘柄の株価バリュエーションは割安.png

 

・ディープ・バリュー銘柄に着目: 
近年、「安全」銘柄が選好される中、株価バリュエーションが低いいわゆるバリュー株は、収益回復が見込まれるものも含めて、割安なままに放置されてきた。また、「安全」銘柄(低ベータ銘柄)のリターンが債券価格との相関度が高く、今後の金利上昇に対し脆弱性があるのに対し、バリュー株(例えば株価資産倍率(PBR)が市場全体の下位20%の銘柄)のリターンは、債券価格との相関度が極めて低い(図表2)。バリュー株は2016年7-9月期には回復し始めており、引き続き堅調に推移する可能性がある。割安なセクターの一つである銀行が金利上昇の恩恵を受ける可能性が高いこともこれを後押しするかもしれない。
 


「安全」な低ベータ銘柄は債券利回り上昇が逆風に.png
 

・市場下落リスクに対する妥当なプロテクション:
「安全」銘柄が軟調であっても、市場下落に対する防衛策を考えないわけにはいかない。米新政権の方向性、そしてその経済政策が各産業や各企業に及ぼす影響の不透明性を考慮すれば、今後市場の変動率が高まることは十分に考えられる。割高な銘柄を避けつつクオリティの高い銘柄を選択するアクティブ運用によって市場下落リスクに備える株式運用戦略は、リスクを抑制し、長期リターンの獲得に至る筋道をスムーズにするために効果を発揮するかもしれない。
 
「安全」銘柄の不振が続けば、多くの投資家が不安に駆られるかもしれない。また、トランプ政権の誕生が米国や世界経済にもたらす影響の不確実性も、当面は市場の不安要因となるだろう。このような市場環境下、株式投資家にとってはアクティブ運用戦略が非常に重要となってくると見られる。選別的に、高確信度銘柄に集中するアプローチは、それまで投資家の人気が集中していた分野での巻き戻しの影響を回避すると共に、政治的リスクの高まりやマクロ経済の変化、金利の長期トレンド反転といった大きな流れの中で、有望な投資機会を捉えることに役立つであろう。
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.abglobal.com/post/en/2016/11/trump-accelerates-new-era-for-equities

 

 

 

 

 

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当資料は、2016年11月23日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 



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