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新興国の成熟を考慮した新興国投資とは

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ロラン・サルティエル(写真)   
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
インターナショナル大型グロース株式運用
エマージング・マーケット・グロース株式運用
最高投資責任者
 
セルゲイ・ダバルチェンコ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
インターナショナル大型グロース株式運用
エマージング・マーケット・グロース株式運用
ポートフォリオ・マネジャー
 

 

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2016年12月16日

 
 
 
新興国市場に投資する投資家は、経済成長率の高い国々における収益機会に魅力を感じていることが多い。しかし、すべての新興国がそうした期待に応えてくれるわけではない。韓国と台湾はこうした点に考慮が必要であることを示す好例だ。
 
米国大統領選挙後の新興国株式市場は、軟調に推移した。ドナルド・トランプ次期政権下の米国の政策が貿易や為替相場に悪影響を及ぼしかねないとの懸念が広がったためだ。それでも、新興国株式は年初来では堅調なパフォーマンスを示しており、多くの投資家は新興国市場へのエクスポージャーの拡大を検討している。新興国市場の株価指数に連動する上場投資信託(ETF)も人気を集めている。しかし、アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、新興国株式のポジションを構築する上で、特に国別のエクスポージャーという観点では、ベンチマーク指数に基づくパッシブ運用が最善の運用手法ではない、と考えている。
 

「中進国」の組入比率が高くなるリスク

それを端的に示しているのが「アジアの虎」と呼ばれる韓国と台湾である。韓国はMSCI エマージング指数の14.8%、台湾は12.2%を占めている。その結果、この指数を用いたインデックス運用を行う投資家は資金の約27%をこの2カ国に投じていることになる。
 
だが、韓国と台湾を新興国と見なすべきなのだろうか?30年前なら、その答えは間違いなく「イエス」だった。1986年から1995年までに韓国の国内総生産(GDP)は平均9.5%、台湾は8.4%の伸びを遂げた(図表1左図)。これは、まぎれもない新興国の成長ペースである。しかし2006年以降の成長率は年率3.5%に減速した。これはより成熟した国に近い水準だ。
 
この比較は人口1人当たりGDPで見ればより明らかだ。例えば、韓国の人口1人当たりGDP(購買力平価ベース)は37,699米ドルで、欧州連合(EU)平均の99%に達する。台湾はEUの平均を25%上回っている(図表1右図)。実際、韓国の人口1人当たりGDPはイタリアよりも若干高く、台湾はドイツをもわずかに上回っている。
 
 
 
韓国と台湾の成長指標は先進国と同水準.png
 
 
 

高成長国の組入比率が不十分に

対照的に、インドとフィリピンの人口1人当たりGDPはEU平均の5分の1程度に留まっている。両国とも過去20年間の成長ペースは先進国をはるかに上回っており、過去10年間の成長率はインドが7.5%、フィリピンでは5.4%にのぼる。それにもかかわらず、MSCI エマージング指数に占めるインド株式の割合はわずか8.3%、フィリピン株式は1.3%に過ぎない。
 
では、なぜ成熟した国々が今なおMSCI エマージング指数に組み入れられているのだろうか? それは指数の管理側のルールと大いに関係がある。例えば、MSCI はどの国が新興国市場として適格であるかを決める上で、企業統治や市場の流動性を重視しているが、人口1人当たりGDPやインターネットへのアクセス、医療、金融サービスといった社会経済的な基準は採用していない。MSCI のガイドラインに基づけば、韓国と台湾は先進国市場とみなされるスコアを得ていない。この結果、インデックス運用を行う投資家は成長率が低い国に対して大きなエクスポージャーを取ってしまうことになる。
 
さまざまなリサーチによると、新興国が先進国に追いつこうとする時期には急速な成長を遂げる傾向がある。しかし、そうした国々も経済が成熟すれば成長は鈍化しがちだ。なぜなら、先進国に追いつこうとする段階が過ぎれば、成長を持続させるために政治および経済システムを改革する必要が生じるからである。そして、多くの国はそうした抜本的な改革が容易ではないことを知ることになる。
 

銘柄選択が国別配分を決定

もっとも、これは新興国株式の投資家は韓国や台湾の株式を買うべきではないという意味ではない。しかし、銘柄選択に関する決定は個別企業の分析に基づいて行うべきである。ポートフォリオにおける国別のポジションを決定するのは個別銘柄への投資機会であるべきで、その逆ではない。そのため、新興国株式で資産を運用する一部のポートフォリオ・マネジャーは、それぞれの投資哲学に基づき、韓国のような成熟した市場でも高い国別ウェイトを正当化できるほど十分に魅力的な投資機会を見つけ出しているのかもしれない。
 
当然ながら、ポートフォリオ・マネジャーはそれぞれの国の経済環境が個別企業のビジネスに与える影響についてリサーチする必要がある。国や業界の成長ダイナミクスを理解することは、投資家を魅力的な投資機会に導くことにつながり得る。例えば、韓国や台湾は経済の成熟度が比較的高いため、スマートフォンやインターネットの普及率も相対的に高い(図表2)。これは、それらの普及率がはるかに低いインド、ブラジル、フィリピンなどの方が、より魅力的な国内の成長機会を発掘しやすいことを意味する。住宅ローンの利用率や自動車の保有率についても同じような見方が当てはまる。
 
 
 
市場の成熟は成長機会に影響.png

 
 

新興国市場のポートフォリオを選ぶ上では、こうしたトレンドに留意することが重要だ。ベンチマークの欠点を理解すれば、投資家はリターンの見通しと整合性のないポジションを自動的に構築してしまうリスクを避けることができる。新興国市場の持続的な回復から大きなリターンを獲得するには、新興国の高成長から本当に恩恵を受けることができる企業に投資することが最善の方法であると考える。

 

 

 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

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当資料は、2016年11月14日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 

 

 

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