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「フラジャイル」を脱却: 新興国通貨・債券の投資機会

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シャマイラ・カーン(写真)
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
エマージング・マーケット社債運用
ポートフォリオ・マネジャー

クリスチャン・ディクレメンティ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
エマージング・マーケット債券
ポートフォリオ・マネジャー
 
 

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2016年12月1日

 
 
 
新興国市場はまだリスクが大きすぎると考えているならば、そろそろ考え直した方がいいかもしれない。新興国では、健全な政策によって経済の脆弱性が薄れ、通貨も上昇している。債券投資でより大きなリターンの獲得を目指す投資家にとって、今は状況を見直す時である。
 
わずか数年前の新興国市場の見通しは、現在とは大きく異なっていた。多くの国々で、借入が拡大した結果、経常収支や財政収支が大幅な赤字となった。この赤字を埋めるためには、国内の債券・株式市場や銀行預金に流入する海外からの不安定な投資資金に頼らざるを得なかった。
 
海外投資家は、しばらくの間は新興国の赤字を喜んで埋め合わせた。なぜなら、彼らは先進国の債券から得られる利回りよりも高いリターンを必要としていたからだ。しかし、2013年に米連邦準備制度理事会(FRB)が緩和的な金融政策を引き締め始める考えをほのめかすと、投資家はすぐさまリスク回避に走り、新興国市場への資本流入は枯渇することになった。
 
その結果、新興国資産の価値は落ち込み、経済成長も失速した。最も脆弱だったブラジル、インド、インドネシア、トルコおよび南アフリカは「フラジャイル・ファイブ(脆弱な5カ国)」として知られるようになり、とりわけ大きな打撃を受けた。2016年第1四半期までに、米ドルに対するブラジル・レアルの価値は約半分に落ち込んだ。トルコ・リラも米ドルに対して40%下落した。新興国市場の現地通貨建て債券相場を反映するJPモルガンGBI-EM指数は、2013年から2015年までの間に30%近く下落した。
 

通貨安の強力な後押し

投資家は、新興国市場に再参入する際、こう自問するかもしれない。「なぜ今なのか?」 
 
各国の調整プロセスが痛みを伴うものであったことは間違いない。しかし、それは経済ファンダメンタルズの強化という形でようやく実を結びつつある。つまり、「フラジャイル・ファイブ」はもはやそれほど脆弱ではなくなっているのだ。
 
その大きな理由は通貨の下落だ。多くの人々にとって、通貨価値の急落は恐ろしいことである。だが「フラジャイル・ファイブ」の場合は、自国通貨の下落は天の恵みだった。なぜなら、それは経常収支の赤字縮小に貢献したからである。
 
また、企業の営業コストや国内の資産価格が低下し、海外からの直接投資(FDI)の拡大を招いている。FDI は本質的に長期投資という性格を持っているため、証券投資よりも安定した資金源となっている。「フラジャイル・ファイブ」へのFDI は力強く拡大し、2009年以来初めて、5カ国合計の経常赤字を埋め合わせる規模に達している(図表)。5カ国の短期対外債務も全体として減少しており、外的ショックに対する抵抗力が高まっている。同じことは新興国市場全体についても当てはまる。
 

 

対内直接投資がフラジャイル・ファイブの収支バランスを強化.png

 

秩序を取り戻した財政

新興国市場にとって次の優先課題は、民間投資を阻害し、成長の足かせとなっている財政赤字を是正することだ。まだなすべきことが多く残っている。例えば南アフリカでは、政治的な停滞により合理的な政策決定が阻まれている。
 
しかし、とりわけ新政権が市場にとって好ましい政策を重視している国々においては、期待できる兆しも現れている。その例を挙げてみよう。
 
  ・ブラジルでは、今後20年にわたって公的支出の伸びを抑制する新政権の提案について、議会が近く承認する見通し
  である
 
 ・インドネシアは、財政を圧迫してきたガソリン価格補助金を撤廃した
 
 ・インドは、過去数十年にわたり成長を阻害してきた重複税制を簡素化した。民間エコノミストは、これにより成長
  率が最大2%ポイント押し上げられる可能性があると予測している
 
こうした動向は、一部の新興国市場で魅力的な投資機会が生じていることを意味する。現地通貨建て債券への投資は、こうした機会を活かす方法の一つだ。例えば、ブラジルでは地方政府債の利回りが11%を超えている。シティ世界国債指数を構成する債券の30%以上がマイナス利回りになっていることを考えれば、これは魅力的であろう。
 
実は、新興国と先進国の実質金利格差(インフレ調整後の金利格差)は、世界金融危機以降では最大の水準に近づいている。しかも、大半の新興国において、今後インフレ率は低位安定すると予想されている。先進国の金利がしばらく低水準で推移するとみられる中、新興国債券市場で選別的にポジション構築を行うことは大いに理に適っている。通貨のバリュエーションも全般的に割安な水準にあるため、経済ファンダメンタルズの改善は、それらの通貨に上昇余地があることを示している。
 
投資機会が存在するのはかつてのフラジャイル・ファイブに限ったことではない。他の新興国市場も改善しているし、一部では非常に有望な投資機会がある。先進国の金利がしばらく低水準にとどまるとみられるため、債券投資のアロケーションを考える上では、新興国への投資を検討すべきであろう。
 

 

 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

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