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新興国市場の回復の波に乗るには遅すぎるか?

Morgan Harting
モーガン・ハーティング
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
マルチアセット・ソリューション部門 ポートフォリオ・マネジャー
 
 

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マルコ・サンタマリア
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
エマージング・マーケット債券 ポートフォリオ・マネジャー
 
 

 

 

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2016年11月28日

 

2016年の新興国株式市場は、これまでのところ力強く上昇してきたが、この堅調な地合いが今後も続くのか、気を揉んでいる投資家もいるだろう。確かに株価バリュエーションは底値当時ほどには割安ではないが、良好なパフォーマンスが続く兆候はある。
 
MSCI エマージング指数は年初から9月までに16.4%上昇し、MSCI ワールド指数の6.1%、S&P 500指数の7.8%を上回った。リスクはあるものの、新興国市場では投資機会が改善しており、アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では今後も上昇が続く可能性があると見ている。中国の金融政策、コモディティ価格の安定、米国経済の持続的な成長、新興国の輸出回復などが株価上昇を支える見通しであるためだ。
 
では、今後はどんなリスクが待ち構えているのだろうか? 米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げに踏み切る可能性、米大統領選挙の結果を受けた世界貿易の行方、ロシアや中国の周辺における地政学的緊張の高まりなどが挙げられる。
 
足元の上昇を受けて利益確定売りを行っている一部の投資家の気持ちは理解できる。新たな資金投入を躊躇する投資家もいるかもしれない。だが、市場に留まるべき理由もあり、選別的な新興国投資は、引き続き大きなリターンを生み出す余地があるとABでは考えている。
 
ABでは、市場が大幅に変動した2016年1月の当ブログで、魅力的なバリュエーション、堅調なファンダメンタルズ、良好な需給環境などを理由に、新興国の株式や債券から高水準のリターンを得られる可能性があると述べた。その後、新興国市場の株価は上昇したが、過去5年にわたる困難な時期を経て投資家不安が払しょくされていないため、先進国株式市場に比べ未だに出遅れている(次ページの図表1、左図)。株価収益率に基づけば、新興国株式市場は先進国市場に対する割安感が薄れてきたが、ディスカウント幅は23%と、依然としてかなり高い水準にある(図表1、右図)。
 
 
 
 
新興国株式は引き続き先進国株式に対し割安.png
 
 
 
株価バリュエーションが上昇していることを踏まえると、リスクを管理し、割高な買い物を避けるために、選別的な投資が重要となる。そうした市場は不安定な動きになりやすいため、投資家はさらなるリスクに見合うほど高いリターンが得られるかどうか見極める必要がある。複数の資産クラスにわたり、ベンチマークに縛られずアクティブに投資機会を探索することで、機敏に対応し、リスクを管理する柔軟性を手に入れることができる。
 

新興国市場ではブラジルとインドネシアに大きな投資機会

新興国の株式市場や債券市場が回復するのに伴い、投資機会もシフトしてきた。2015年に15%下落した現地通貨建て新興国債券市場は、魅力を高めつつある。ブラジルやインドネシアなどは、インフレ圧力が後退したことから実質金利が世界で最も高い水準にあり、金利に低下余地が生まれている。その結果、債券価格の上昇が期待できると同時に魅力的なクーポンを得られるため、リターンが押し上げられる可能性がある。
 
一方で、一部の新興国債券市場には投資が集中し、格付けが同等の先進国債券よりも利回りが低くなっている場合もある。例えば、中欧や東欧諸国が発行した米ドル建て国債の信用スプレッドは、同等の格付けの米国社債に比べかなり縮小している(図表2)。
 
 
 
 
一部の中欧諸国のソブリン債スプレッドは割高気味.png
 
 

中国経済の安定が世界の株式市場を押上げ

投資機会のシフトは株式でも進んでいる。2016年上半期は安全を求める投資に注目が集まり、ボラティリティの低い銘柄が上昇したが、今や投資家は景気敏感セクターの中から割安な銘柄を探し始めている。その理由の一つは中国の見通し改善だ。
 
2016年初頭の中国経済の見通しはかなり不透明だった。政策当局者は景気刺激策を講じたが、それが効果を上げる兆しは見えず、生産者物価指数は下落した。しかし、今は刺激策の効果が現れている。中国の経済活動は安定しつつあり、企業の価格決定力も高まっている。不動産市場も回復しつつある。株式市場でも同じことが言える。中国株式は2016年2月に5年ぶりの安値を付けたが、その後は盛り返し、年初から9月までの上昇率は8.8%に達している。
 
中国の金融銘柄や不動産銘柄は、債務の持続可能性に対する不安が和らいだことから、とりわけ好調な動きを示しており、7-9月期には10%台半ばの上昇率を達成した。中国で新たに生まれつつある電子商取引分野に注力しているテクノロジー企業の株価も力強く上昇している。強力なキャッシュフローや成長期待に基づき引き続き投資価値を提供している企業もある。潤沢なキャッシュフローを創出し、バリュエーションが魅力的で、配当利回りも高い中国銘柄が数多く見受けられるのだ。
 

中南米も好転

ブラジルとアルゼンチンもパフォーマンスが好調で、両国の株式市場は2016年初から9月までにそれぞれ62.9%、19.5%上昇した。どちらの国もより持続可能なマクロ経済政策を進めている。インフレ率も高水準から低下し、両国の中央銀行は利下げに着手することが可能になった。金利が低下すれば借入コストが低下するほか、資産のディスカウント幅も縮小する。経済成長はまだ上向いていないが、株式市場は景気回復を織り込み始めており、高水準のリターンを支えている。
 
新興国市場を全般的に見れば、2016年の年初来パフォーマンスが最も高いセクターはエネルギーで、原油価格が1-3月期につけた安値から回復していることが寄与した。グローバルな総合エネルギー企業は2015年の原油価格下落以降、キャッシュフローを増やすため断固とした取組みを進めてきた。その結果、そうした企業は6%以上にものぼる配当利回りを維持することができたが、グローバルな石油業界全体と比べると割安な株価水準で取引されている。
 

複雑な環境下で確信を高める

新興国への投資は魅力的なリターンを得られる可能性があるが、しばしば大きなリスクも伴う。投資家は、予測困難なマクロ経済に関するリスクや、政治的あるいはガバナンス面のリスクの影響を受けにくい、高い確信度を持てる投資ア
イデアに注力する必要がある。
 
そうしたリスク要因は新興国市場全体のボラティリティに影響を及ぼすことが多い。また、株価指数はリスクの高い国やセクターの比重が高かったり、それらとの相関度が高い傾向にあるため、意図せぬリスクが生じる可能性がある。このためABでは、アクティブなアプローチが適切で、投資家の成功を指数やボラティリティから切り離すことが重要だと考える。
 
結論を言えば、新興国市場はベンチマークにとらわれない投資家にとって、引き続き数多くの投資機会を提供している。それらの投資機会を最大限活用するのは、今からでも遅すぎることはない。
 
出所:S&P、モーニングスター・ダイレクト、MSCI。MSCIのリターンは米ドル建て 
 
 
 
 
 

 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.abglobal.com/post/en/2016/10/is-it-too-late-to-catch-the-emerging-market-rally

 

 

 

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当資料は、2016年10月21日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 

 

 

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