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都市への移住者が新興国農村部の消費を変える

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リリアナ・デース  
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
エマージング・コンシューマー株式運用/
インターナショナル・ディスカバリー株式運用 
ポートフォリオ・マネジャー
 
デニス・ボイントン 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
エマージング・コンシューマー株式運用
シニア・リサーチ・アナリスト 兼
共同ポートフォリオ・マネジャー
 

 

 

 

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2016年11月18日

 

新興国では都市化が進行している。都市に移住する人々は、当然ライフスタイルや消費習慣を変えるが、農村部に残った人々はどうだろう? 実は、新たに都市住民となった人々が都市の生活を農村部に持ち込む現象が見られ、企業や投資家にとっては新たな機会が生じている。
 
国際連合がまとめた「世界都市化予測」2014年版によると、世界人口のうち、都市部に住むのは全体の54%に達し、1950年の30%から大幅に増加した。その割合は2050年までに66%に上昇すると予測されている。
 
それでも、世界では未だに32億人が農村部に住んでいる(2014年の34億人からは減少)。都市部に移住する人々が増え、彼らが急速に進歩する通信手段やインフラを通じて故郷の親戚や友人と連絡を取り続けるのに伴い、あるトレンドが強まると予想される。都市的な価値観が農村部のライフスタイルに影響を与えるという現象だ。
 
意外なことだが、都市に移住した人々が故郷の村に住む友人や親戚の考え方や行動にどんな影響を及ぼしているかについては、これまであまり調査が行われていない。しかし、アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)のリサーチでは、しばしば取り上げられているテーマである。
 

拡大する需要は満たされていない

例えば、中国では家族の誰かが都市に移り住めば、農村の消費需要が都市部と似たものに変化することが判明した。ABでは湖南省長沙から2時間ほどかかる村で、家族の中で都市に移住した人のいる家を数軒訪ねた。
 
そこでは村人がヨーグルトや缶入り飲料を好んでいた。それらの商品は、農村部では都市部ほど普及していないが、同じ日に我々が訪ねた都市住民となった家族が日常的に消費していたものだった。
 
インドでも、都市部への移住者が故郷の村における人々の行動に変化をもたらしている。村に住む女性は伝統的なサリーの代わりに「サルワール・カミーズ」と呼ばれる長めの上着にズボンを合わせたものを着用し始め、少女らは自転車に乗ることを認められるようになり、洗濯機や自動給水ポンプを購入する家庭も現れた。
 
村人が都会に住む家族や友人を訪ねると、彼らは村では手に入らないインスタント麺「マギー」やパスタ、その他の食品を食べる機会がある。それらの食品は今や農村部でも需要があるが、小売販売網が整備されていないため、村人の需要は依然として満たされていない。
 
インフラや通信手段が改善されるのに伴い、こうした影響は農村部の消費が消費材ブランドの商品にシフトするのを後押ししている。基本的に、これは消費者が実際に都市部に移り住む前に起こる消費の「都市化」現象である。
 
旧来型の小売業者はこうしたニーズの変化に対応できずにいる。農村部に住むすべての人々に商品を届けるには、流通網の整備に多額の資金がかかるためだ。ABでは、こうした顧客を獲得できるのは、物理的なネットワークを構築することなく流通網を構築できる企業であると考える。
 

中国が先例に

これは電子商取引にとって非常に強い追い風となりそうだ。インドではインターネットの普及率がわずか28%に過ぎないが、ネットユーザーはすでに3億7,500万人に上っている(スタティスタ社調べ)。消費者調査会社フォレスター・リサーチによると、インドではインターネット上で買い物をする消費者は2016年末までに6,800万人に達すると推定される。また、インドのオンライン小売売上高のうち50%近くが携帯端末を通じた消費となりそうだ。
 
そこで問題となるのが言語である。インドでは公式言語が22種類もあり、最も多く用いられている言語(ヒンズー語)でも、第一言語としているのは全人口の41%に過ぎない。そのため、電子商取引のサイトにとっては、半数以上の消費者を相手にしたければ複数の言語に対応しなくてはならない。現在、大半の主要アプリは英語を用いている。
 
中国では電子商取引の普及率が非常に高い。それは従来型の実店舗が(特に富裕層が住む一級都市以外の地域で)消費需要の変化に追いついていけないためである。2015年末時点で、中国でネットショッピングを行っている人は4億2,900万人に上り、その数はネットユーザーの61%に相当する。中国商務省によると、中国のオンライン小売売上高は2013年に1兆8,500億元(2,966億米ドル)に達し、米国(米商務省の調べでは2,612億米ドル)を追い抜いた。
 
当然のごとく、中国では携帯端末を通じた買い物および決済分野でイノベーションが起きており、Tenpay(財付通)のようなオンライン決済サービスを利用すれば、WeChatと呼ばれるプラットフォーム横断型メッセージ・アプリを通じて友人や家族との間で少額の「紅包(祝儀)」をやりとりすることができる。アプリの利便性によって少額の決済ができるようになれば、銀行口座を持たない人が多いインドの農村部にも大きな恩恵をもたらすことになろう。
 
こうしたトレンドは多くの企業にとって、新興国の消費者にアクセスする機会を拡大するものだ。しかし、投資家が忘れてならないのは、成功を収める可能性が最も高い企業は、実際に物理的なネットワークがなくとも販売網を構築できる企業であるということである。
 
 
 
 
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

 

本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもABポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスの過去のパフォーマンスは将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。 
 
当資料は、2016年9月29日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 

 

 

 

 

 

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